ペスゥ問題 ~『古代エジプトの数学問題集を解いてみる』より

NHKスペシャル 知られざる大英博物館 古代エジプトの数学問題集を解いてみる』  三浦伸夫 NHK出版
 
 
P65 
Q11
2ペスゥのビール10杯は、5ペスゥのパン何個と交換できるか?
 
………。
 
え?
 
 
とっとと答えを見る。
 
 
A11
 
2ペスゥのビール10杯に必要な粉は、10÷2から5ヘカトです。ここから5ペスゥのパンを作るのですから、5×5個で25個のパンができあがります。原料が等しいパンとビールはおなじ価値なので、パン25個と交換できます。
 
…。
 
ぺすぅって、なんだっけ? へかとって、あれだよね。あれ。って、…なんてうろ覚えなんだ私。
 
で、ペスゥとは。
 

ペス(料理する)から派生した単語で、材料1ヘカトあたりからできあがる料理の量です。

 

具体的には、
ペスゥ = できあがったパンの個数やビールの杯数 ÷ 材料となる穀物の量
です。したがって、ペスゥの値が大きいほど、少ない材料で作られた薄いパンやビールとなり、価値が低いということになります。

 

ヘカトとは、もとは測る容器そのもののことでしたが、次第にそれは穀物の容積を測る単位となりました。
 
ですので
 

1ヘカト = 10ヒン = 320ロー  しかしその実際の量は時代によりまちまちで、リンド・パピルスの書かれた中王国では、おおよそ4.54リットルです。

……。
 
…既に日本語ですら理解できなくなってきた気がする…。
 
いや、忘れていたわけではないが、私は算数も数学も、大の苦手だった。
「お得」という言葉にはヨワいけど、どのくらいオトクかという計算までは出来ない。自慢じゃないけど。
 
もー、考えることを脳が激しく拒否している。まさに「NOooo!!」と叫んでる感じだ。
 
 
この「ペスゥ問題」というのは、大英博物館所蔵のリンド・パピルスの「典型的問題」なんだそうです。
 

ペスゥを用いた問題はリンド・パピルスやモスクワ・パピルスにはたくさんありますが、料理が数学問題のひとつのジャンルを作った例は、他の文明圏では存在しないようです。(P52)

 

でも、こういう問題って、とっても実用的。いいですよね。生活に則してるのって。
  
エジプトでは、パンとビールは給与とされることもありました。
そしてこれらは神々への大事なお供え物でもありました。
 
 

厨房でパン生地作りの図

厨房でパン生地作りの図

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