“中国のお茶全部にかけても” A PRAYER FOR THE DYING

 
主人公・ファロンや敵役のミーアンの口調ってこんな感じなのかな、と思って聴いていたのですが、やっぱり、と言うか、案の定と言うか、聞き取れない単語・何て言ってんだか知りたい単語がたくさん出てきまして。
 
結局原書も買いました。
 
で、確かめました。
 
聞き取れなかったセリフ。 "Girl, dear."
 
ええ~Girldearって、知ってる単語なのに~!!!
 
…聞き取れなかったなんてショックだ…。
 
 
 
 ロンドンを出るまでの一時の宿として、ファロンが連れて来られたのはジェニー・フォックスの家。
  ビリー・ミーアンに、ファロンが出かけたらすぐにジャックに電話し、その行き先を聞き出すように言われたジェニー。出かけようとするファロンに何処へ行くか尋ねるのだが、彼は言うつもりは無いと言う。
彼はやさしくジェニーの鼻先を指でなぞり、
 
いいかい、言われたようにすることだ。おそらくジャック・ミーアンに電話して、わたしが出かけたと連絡するように言われているんだろう?だが、わたしはどこにいくか言うつもりはないよ」
「夕食までにもどってくる?」
「中国のお茶全部にかけても、きっとご馳走になりますよ」ファロンは微笑とともに出ていった。
 なんて古風な言い回しだろう。おばあさんがよく口にしていたっけ。久しぶりに聞く言葉だった。不思議なことに、彼女は泣きだしたい気持ちになった。
                                      (死にゆく者への祈り 井坂 清訳 ハヤカワ文庫)
 
 
 "Girl dear, do what you have to, which I presume means ringing Jack Meehan to say I'm taking a walk, but I'm damned if I'll say where to."
 "Will you be in for supper?"
 "I wouldn't miss it for all the tea in China."
He smiled and was gone.
 It was an old-fashioned phrase. One her grandmother had used frequently. She hadn't heard it in years. Strange how it made her want to cry.
                                                                            ( A PRAYER FOR THE DYING by Jack Higgins)
 
 
 「いいかい、」と、日本語で違和感なく読めるこの箇所のセリフがホントは「Girl dear, 」だったのかぁと、ちょっとびっくり。
このファロンとジェニーのやり取りのシーンがとても好きなのですが、ここでもうひとつ。
 
 "I wouldn't miss it for all the tea in China." 「中国のお茶全部にかけても、きっとご馳走になりますよ」
 
 "I wouldn't do it for all the tea in China." は聞いたたことがあって、ちょっと検索してみたところ、"I wouldn't miss it for all the tea in China."も出てきまして、「古風な言い回し」というだけあり、最近では(これが書かれた当時でも既に?)あまり使われない言葉のようでした。
 手元の辞書に、
 wouldn't / won't do ~ for all the tea in China
(やや古・インフォーマル) 何があっても絶対に~しない
 
not ~ for anything in the world も同じ意味。
 
ついでに、
 
I wouldn't miss it for the world ( I wouldn't miss it for anything. とも)
(話)ぜひとも(行きたい[見たい]です)
 
覚えておかなくては。
 
 初めてこの本を読んだ時、この言い回しを知らなかったため、「中国のお茶にかけても、…」の箇所に「?」と思ったものですが、そのまま後半部分の和訳「(何があっても絶対に、きっと)ご馳走になりますよ(戻ってきますよ)」と、考えればいいのですね。
 ところで、「お茶」というからには英国英語?
 「お茶」=高価なもの、貴重品、て解釈でいいのでしょうか。価値ある「中国のお茶全部」をかけても、ってことで。
 
 …また調べてみたいことが増えていく…。