小説「ディーバ」

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デラコルタ作 飯島宏訳 新潮文庫 

「音楽マニアのジュールは十八歳。熱愛する歌の女神(ディーバ)シンシアのコンサートをひそかに録音した彼は、なぜか警察や殺し屋たちから追い回される破目になる。わけもわからないまま逃げ続ける少年に救いの手をさしのべる美少女アルバと、謎の男ゴロディッシュ。暗躍する日本のレコード会社。 花の都パリを舞台に軽快なタッチで描く、ポップで洒落た都会派サスペンス・ロマン。」

と文庫本の裏表紙に書いてあります。昭和58年の初版本です(定価が360円!)。
物語の冒頭で歌手シンシアが歌い、ジュールが密かに録音したのは「ラ ワリー」の「さようなら、故郷の家よ」だ…とずっと思っていたのですが、それは映画の方でだった様です。改めて読み返し、「ジュールが録音したのは「ラ ワリー」の「さようなら、故郷の家よ」」では無かったことを知りました。小説の中には「シューベルトの歌曲」とありました。どれだろ。

ジュールとゴロディッシュの音楽の趣味をざっと書き出してみると、
・レオンタイン・プライス
マリア・カラス
リヒャルト・シュトラウス “四つの最後の歌”
・ヴィヴァルディ “怒れるオルランド
モーツァルト “ドン・ジョバンニ” カルロ・マリア・ジュリアーニ指揮
グスタフ・マーラー 交響曲
リヒャルト・シュトラウス “ばらの騎士
シェーンベルク 四重奏曲
シューベルト ピアノソナタ
・ベートーベン 交響曲 クレンペラー指揮
ベラ・バルトーク バイオリン・コンチェルト第二番
・バッハ “音楽の捧げ物” ピアノ独奏曲
アルフレッド・ブレンデルのピアノによるベートーベンの作品10No.1ソナタ
                                     …
いい趣味、なんでしょうねきっと。

「暗躍する日本のレコード会社」の人間に対する描写には「え~(-_-;)」な部分があるし、日本人として悪者扱いされるのは面白くない(映画では別の国の人間の設定)。映画を観た時大学生の時には、「パリってオシャレ」な印象でしたが、現在だと「一種のファンタジー」な感じがします。
登場人物の中ではゴロディッシュが好きですが、ジュールの様に音楽にのみ情熱を傾けていくのに憧れますね。