ゴッホの「アーモンドの花」

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花咲くアーモンドの枝 Blossoming almond-branches 
1890年2月、サン=レミ   ゴッホ美術館
 
 
 初めて見た時の印象は、「ゴッホにしちゃ地味だな」でした。
 何といっても、それまでに見ていた「ひまわり」や「自画像」の強い色彩(またはコントラスト)のイメージが強烈でしたから。
 この絵、私にはなんだか日本の着物の柄のように思えたのです。
 
 
 ゴーギャンとの共同生活に失望した後、自分の耳を切り落とす事件を起こしたゴッホは、アルル近郊のサン・レミの精神病院に収容されます。
 
 1890年1月。
 ゴッホを支援する弟・テオ夫婦に男子が誕生し、彼と同じ「フィンセント」と名付けられたことを祝って、ゴッホはこの絵を描き贈ります。
 
"How glad I was when the news came... I should have greatly preferred him to call the boy after Father, of whom I have been thinking so much these days, instead of after me; but seeing it has now been done, I started right away to make a picture for him, to hang in their bedroom, big branches of white almond blossom against a blue sky." (Wikipedia)
 
 子どもが生まれたと聞き、喜ぶゴッホ
 自分の名より父の名の方が良かったのでは、と述べながらも、
「僕はすぐに寝室に掛ける絵を、その子のために描き始めました。青い空を背景にした、白い花をつけたアーモンドの太い枝の絵を。 」

 ひょっとしたら、喜びと同時に不安もあったかもしれません。
 自分を支えてくれているテオの関心が、自分ではなく、全て家庭に向いてしまったら…、というような。
 
 それでもこの絵の花は美しく咲いています。狂おしいほどの激情は抑えられ、瑞々しく、希望にあふれているようです。
 
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グラスの中のアーモンドの花 Blossoming Almond Branch in a Glass
1888年 ゴッホ美術館

 
 
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本とグラスの中のアーモンドの花 
Blossoming Almond Branch in a Glass with a Book
1888年 個人蔵, 日本
 
 
 
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Almond Tree in Bloom
1888年 ゴッホ美術館
 
 
 
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アーモンドの花