“不老不死の霊薬”辰砂 「天然石と宝石の図鑑」より

「鉱物の魅力がわかる 天然石と宝石の図鑑」 
日本実業出版社   松原聰 監修   塚田眞弘 著
 
 
 秦の始皇帝が求めた不老不死の薬。人を使って探させたり研究させたりして、ようやく手に入れたと思ったらそれは「不老不死」とは真逆のモノって、なんだか皮肉だ。
 
辰砂(英名:Cinnabar シンナバー) 水銀の原料として重要な鉱石鉱物。
中国の辰州(現在の湖南省)で多く産出したことから、この名が付けられました。
 
 
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 別名は朱砂、丹砂、賢者の石(!)。
 漢字の「丹」は辰砂のことで、赤色も意味するそうです。
 中国では不老長寿の霊薬“仙丹・金丹”の原材料とされました。
 
 古代の赤色顔料はこの辰砂の他、ベンガラ(弁柄)があり、こちらはインド・ベンガル地方原産で酸化鉄系。
 黒塚古墳(奈良県)の石室内の「木棺には中央部の長さ2.8メートルの範囲のみ水銀朱を施し、両端はベンガラの赤色で塗られていた模様である」(Wikipedia)。
 日本の弥生時代から古墳時代にかけて、死者を赤く塗るという“施朱”の風習もあったそうです。
 鳥居などにも使われているように、赤い色には「魔除け」の意味があり、この施朱も「死者の再生を願い死霊を封じ込めるためのものといわれ(「鉱物の魅力がわかる 天然石と宝石の図鑑」)」ているとか。
 
「死者を葬る際や祭祀の場に魔除けの意味で朱塗りを施した例が知られている。古代日本の軍場(いくさば)では顔を代表する身体の各部位に丹色(にいろ)を塗布し武運と安全を祈願したという。また、弁柄はしばしば朱漆の代用となった弁柄漆として器物と組み合わせられたりしてきた。」(Wikipedia 赤
 
 前にテレビで始皇帝特集を見たときに、この「辰砂」の言葉が出てきたかどうか、ちょっと記憶にありません。
しかし権力を手に入れた後、次に求めた不老不死の霊薬で逆に命を縮めるなんて。これを手にしなければもう少し長生きできたのではないでしょうか…。