金。
かね、じゃなくて、この場合「きん」です。
ひかりもの、大好きです。
それと同じくらい、いえ、それ以上に世紀末芸術大好きです。
その世紀末を生きた芸術家のひとり、グスタフ・クリムト。
彼の手による、ストクレ邸壁画。
「生命の樹」を背景に、「期待」と「成就」が左右に配置されています。
金多用。
エジプトっぽくもあり、陽気で明るい地中海のモザイクっぽくもあるけれど、なにより日本美術の影響を感じます。
ストクレ邸壁画 期待(左) 成就(右)
成就
そして、傑作、「接吻」。
実物を何度か見たことがありますが、この美しさ、深いテーマに、言葉が出ませんでした。
その度絵葉書なんか買っちゃうんですが、小さなサイズではその迫力は伝わらない。「本物を見た」という証拠程度。
接吻
「女性の裸体、妊婦、セックスなど、赤裸々で官能的なテーマを描くクリムトの作品は、甘美で妖艶なエロスと同時に、常に死の香りが感じられる(若い娘の遺体を描いた作品もある)。」 ( Wikipedia グスタフ・クリムト )
19世紀の末。
ヨーロッパの芸術において、「愛(エロス)と死(タナトス)」をテーマにした作品が数多く登場します。
熟して、腐敗する寸前の果実が放つ芳香。
その甘く、危険な香りが、観る者の心を惹き付けて止まないのでしょうか。