イヴリンはアガサの上着の衿に目を投げると、しげしげとそれを眺めた。「あなた、不幸な恋をしたことがおありになるの」
アガサはびっくりした。
「いつもそのブローチをつけているんですもの。黄色いチューリップね。望みなき愛って意味があるのよ」
アガサは横目で自分の衿を見た。「そんなバカなこと、イブリン。わたしの母がくれたのよ。もともと父から母へのプレゼントだったの。あのふたりの結婚は完璧だったわ」
「それは素敵ね」イヴリンはいった。「ともかく、わたしも花言葉なんて信じるのはどうかと思うけど」
アガサはびっくりした。
「いつもそのブローチをつけているんですもの。黄色いチューリップね。望みなき愛って意味があるのよ」
アガサは横目で自分の衿を見た。「そんなバカなこと、イブリン。わたしの母がくれたのよ。もともと父から母へのプレゼントだったの。あのふたりの結婚は完璧だったわ」
「それは素敵ね」イヴリンはいった。「ともかく、わたしも花言葉なんて信じるのはどうかと思うけど」
両親の結婚は完璧だったけれど、自身は夫に裏切られ、深く傷ついているアガサの衿に留まる、黄色いチューリップのブローチ。
今引っくり返してみると
バーコード無し。
バーコード無し。
いや、そこじゃなくて。
ミステリーの女王・アガサ・クリスティが失踪した、実際の事件を題材に書かれた小説です。
真相は闇の中。彼女がお墓の中まで持っていってしまいました。
でも、ホントはこうだったんじゃない?と思えてなりません。それほどに、この本はよく書けていると思うのです。
真相は闇の中。彼女がお墓の中まで持っていってしまいました。
でも、ホントはこうだったんじゃない?と思えてなりません。それほどに、この本はよく書けていると思うのです。
映画も観ました。
20年代、アールデコの時代の空気が伝わってくる作品でした。
名作だと思うのに、これってDVD化されてない?また観てみたいと思っているんだけど。
出てないとしたら、海外のAmazonで買うしかないのかな。
20年代、アールデコの時代の空気が伝わってくる作品でした。
名作だと思うのに、これってDVD化されてない?また観てみたいと思っているんだけど。
出てないとしたら、海外のAmazonで買うしかないのかな。
物語の最後、アガサはこのブローチをプラットフォームに落とします。不幸な恋、結婚との決別のように。
それを駆けよって拾うイブリン。
そして彼女が手渡すのは…。
この原作の原書もぜひ読んでみたいです。
「アガサ・クリスティ」という名の薔薇はピンク色をしています。
下の写真はそれとは違いますが、現在満開に近く、初夏を感じさせてくれます。
きれーだなー。