天平2年、つまり730年。
正月13日(太陽暦2月8日頃)。
この「観梅の会」の主客は32人。その出席者の中には山上憶良も。
で、庭に咲いた梅の花を題材に歌を一首ずつ詠み合った。
旅人が書いたのでは、と言われている漢文の序文、
「天平二年正月十三日に、帥老(そちろう、旅人)の宅に集まって、宴会を開いた。時は初春の良い月で、外気は心地よく風は和らいでいる。梅は鏡の前の白粉のような花を咲かせ、蘭は匂い袋のような良い香りを漂わせている。…」(『コレクション日本歌人選041 大伴旅人』 中嶋真也 著 笠間書院)
今にも梅や蘭の芳香が漂って来そうですが、
「The air was clear, the wind was soft. The blossoms opend like a spray of powder before a
この英訳も、さすが。美しい。
旅人の
「わが園に 梅の花散る 久方の 天より雪の 流れ来るかも」
(私の家の庭に梅の花が散っています。久方の天空から雪が流れ来ているのでしょうか)
この英訳も、著者の手にかかれば、
Plum blossoms fall
and scatter in my garden;
is this snow come streaming
from the distant heavens?
綺麗ですねー。
こんな訳が出来るようになってみたい。
私の好きな山上憶良。彼がこの時読んだのは、
「春さればまづ咲くやどの梅の花ひとり見つつや春日(はるひ)暮らさむ」
(春が訪れると、まず最初に咲く庭の梅の花。
本来なら家族と共に、春の訪れを告げる梅の花を見るところだったのに、独りで観るという寂しさを詠んでいます。
家族と離れ、望郷の思いを抱えて花を眺める人もいたことでしょうね。
このブログでも過去に梅の花を題材に取り上げています。
ああ、もう一年巡ってきちゃったかあ。
しかし、早くも次の梅を楽しみにしています。
近所で咲いていた、今年の梅。