平安童女の上着・躑躅色 「色で読み解く日本史」より

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「色で読み解く日本史」
 
中江克己著 青春新書
 
  
P167 躑躅(つつじ)
  
つつじには色んな種類、色がありますが、我が国では、赤みのある紫を「躑躅色」というそうです。 
平安時代には既に「襲(かさね)の色目(いろめ)」のひとつに、「躑躅」の色目があったようです。
「襲(かさね)の色目」とは、「平安時代以降、公家社会に行われた衣服の表地、裏地、また衣服を重ねて着たときの色の取り合わせの種目」(デジタル大辞泉の解説)。
 
枕草子』の中に、「汗衫(かざみ)は、春は躑躅、桜、夏は青朽葉」という件がありました。
「汗衫」は、本来「下着」のことです。
  
汗衫(かざみ)は、もともと汗取りの衣を指したが、平安時代以降は官女や童女の上衣をいうようになった。ここに登場する「躑躅」は合色目である。
 合色目の「躑躅」は、表が蘇芳、裏は萌葱か青、紅とされた。ほかに、表が白、裏が濃蘇芳か蘇芳、青、紫などの組み合わせもあった。これからすると、やや暗い感じの赤みのある紫というイメージである。とはいっても実際に躑躅の種類は多いし、花の色もさまざまだから、合色目の組み合わせも多くなったのであろう。
 
また、『花の色図鑑』(福田邦夫著 講談社)にも、「汗衫(かざみ)とは公家童女が着用した単(ひとえ)仕立ての表着のこと。この時代の色の使用は主に年齢と季節によって規定されていたが、童女が春に着る上着の色として、清少納言は、薄いピンクの桜色とともに躑躅色がいい、と推奨している。」ともあり、躑躅色も桜色も、どちらも春らしく、可愛らしい童女の装いにぴったり。
 
清少納言は「紅梅色は見飽き」ていたようですが、この蘇芳の色は気に入っていたようです。
 
私は紅梅色も好きだけどな。